インフレになると個人の預金や財産は目減りします。これと同じように円相場の変動によって国の外貨建て資産も目減りすることがあります。円相場が上昇すれば、ドル相場は下落するわけで、円高になれば外貨建て資産は目減りするという次第です。逆に円相場が下降すれば、ドル相場は上昇し、外貨建て資産の価値は高まります。例えば百万ドルのビルを持っていたとします。一ドル=一〇〇円なら、円換算で一億円。これが一ドル=八〇円の円高になると八千万円になります。ただ、だからといって、円安の方が国にとって得というわけではもちろんありません。円高による目減りはあくまで手持ちの外貨建て資産が目減りするだけのことで、円高そのものは日本の経済の強さを一面で示すわけですから、国の資産全体の価値が高まることはいうまでもないことです。国の外貨建て資産の中心は外貨準備と呼ばれるもので、その金額(外貨準備高)は国が輸入代金の決済や借金の返済など対外的な支払いにあてられる資金をどの程度持っているかを示す重要な指標になります。日本の外貨準備高は外貨(ほとんどがドル)、IMFの特別引き出し権などで構成され、政府の外国為替資金特別会計(外為特会)や日本銀行の資産勘定に計上されています。外貨準備高は一九九五年三月末に千四百十五億二千三百万ドルに達しています。一年間で三百九十七億ドルも増えました。これは九四年春以降の急速な円高・ドル安に歯止めをかけようと、政府・日銀が円売り・ドル買い介入を懸命に実施したためだと見られています。